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18 February
表現者の選択
表現者は、人の心を動かすために、自らの芸術的信念に基づいて、物事を冷静に分析する眼と、的確な表現を選択する論理的な思考が必要になります。しかし、中には、自らが感情的となり、感覚に頼った仕事をする人も多いです。
どちらのタイプの表現者も、内容の違いこそあれ、「鑑賞者の心を動かす」ために、彼らなりの美を追求しているという点では共通しているはずです。
ところが人生においては、それらが逆転することが多いことに気づきました。
分析的、論理的な表現者ほど、人生の選択時には、「信念」を重んじるが故に損をする人が多いのです。
一方、感情や感覚が大事だと声高に主張する表現者ほど、人生の選択時には必ず損得勘定で判断を下すのです。
この原因は、結局、「真善美」よりも、「損得勘定」の方が安易に人の感情や感覚を動かすものだということでしょう。
表現者といえど、霞を食って生きていけない以上、ある程度の妥協も必要でしょう。しかし、「腐った妥協」をすることで、自らが腐ってしまうことだけは避けなくてはなりません。
「損得勘定」が「美を追求すること」よりも、感覚的に優先される表現者が作る作品に、いったいどんな美が宿るのでしょうか?